東京高等裁判所 平成元年(行ケ)128号 判決
一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)及び二(再審審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、原告主張の再審事由の存否を判断する。
原告の主張は、要するに、原審決は甲第二号証の一に関する判断をしていないから審決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断を遺脱しているというのである。
しかしながら、原本の存在及びその成立に争いない甲第二号証の一によれば、甲第二号証の一に記載されているところは、現在一般に肯認されている物理学上の知識をもつてしては到底理解することができず、したがつて、右記載を考慮することによつて本願発明が産業上利用し得るものと判断されるに至ることはあり得ない。
そうすると、甲第二号証の一に記載されている事項が、本願発明は特許法第二九条第一項柱書の要件を満たしていないから特許を受けることができないとした原審決の結論に影響を及ぼさないことは明らかである。したがつて、甲第二号証の一が審判手続に適式に提出されていると仮定しても、原審決が甲第二号証の一に関する判断をしていないことが再審事由である判断遺脱に該当すると解する余地はないというべきであるから、本件再審請求は不適法であつてその補正をすることができないものであるとした再審審決に原告主張の違法はない。
三 よつて、再審審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却する。